2025年8月OPEN

【MS5310 修理事例】タンク水漏れとエンジン不動!原因は?

「タンクから水が漏れるのと、エンジンがかからなくなってしまって…」

先日、お客様より丸山製作所の背負式動力噴霧器「霧将軍 MS5310」の修理をご依頼いただきました。長年ご愛用されているとのことで、なんとか直して、また使えるようにしてほしいとのご相談です。

今回は、当店で行った診断と修理の過程を詳しくご紹介いたします。同様の症状でお困りの方は、ぜひご参考にしてください。

目次

案件概要:MS5310の診断

お預かりした機体の症状は以下の2点です。

タンク周辺からの液体漏れ
エンジン始動不良

まずは、トラブルの原因を特定するため、慎重に診断を進めてまいります。

修理内容1:タンク周辺からの水漏れ

診断:原因はパッキン部品「ピンマトメ」の劣化

最初に、水漏れの箇所を特定します。タンクに水を満たして確認したところ、ポンプユニットとの接続部から水が滴り落ちていました。

分解して内部を調査した結果、原因は「ピンマトメ」と呼ばれるパッキン部品の経年劣化であることが判明しました。ゴム製の部品は、長年の使用や薬剤への接触により硬化と穴あきをしていました。その結果、密閉性が損なわれ、隙間と穴から水漏れが発生していました。

また、関連部品であるホースバンドにも緩みが見られたため、同時交換をご提案いたしました。

パーツリスト23番「ピンマトメ」

処置:関連部品の交換で水漏れを完全に解消

診断結果に基づき、以下の部品を交換いたしました。

ピンマトメ(新品)
ホースバンド(新品)

部品交換後、再度注水テストを実施し、漏れが完全に解消されたことを確認。これで安心して薬剤をタンクに貯めることができます。

修理内容2:エンジン始動不良

診断:点火系統の不良を特定

次に、エンジン始動不良の診断に移ります。お客様のお話では「リコイルを何度引いても反応がない」とのことでした。

エンジン不動のトラブルシューティングでは、**「良い燃料」「良い圧縮」「良い火花」**の3点が基本となります。

  1. 燃料系統の確認: 燃料は新しく、キャブレターへの流れも問題ありませんでした。
  2. 圧縮の確認: プラグホールからテスターを当てて、適切な圧縮があることを確認しました。
  3. 点火系統の確認: 最後にスパークプラグを確認したところ、火花が非常に弱い、もしくは飛んでいない状態であることが判明しました。

これにより、エンジン不動の原因はスパークプラグの寿命による点火不良であると断定いたしました。

処置:スパークプラグ交換で快調なエンジンへ

原因部品であるスパークプラグを新品に交換。プラグキャップをしっかりと取り付け、リコイルスターターを引くと、一発で快調なエンジン音が響き渡りました。吹け上がりもスムーズで、本来の性能を取り戻したことを確認し、作業完了です。

総括:定期的なメンテナンスで機械は長持ちします

今回のMS5310の修理は、経年劣化による消耗品の交換で、無事に本来の性能を取り戻すことができました。

  • 水漏れの原因:ゴム部品「ピンマトメ」の硬化
  • エンジン不動の原因:スパークプラグの寿命

一見、大きな故障に見える症状でも、原因を的確に突き止めれば、比較的簡単な修理で直るケースは少なくありません。しかし、その原因特定には専門的な知識と経験が求められます。

当店では、豊富な経験を持つ専門スタッフが、お客様の大切な機械を一台一台、丁寧に診断・修理いたします。動力噴霧器の不調やメンテナンスでお困りの際は、どうぞお気軽に当店までご相談ください。

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この記事を書いた人

自動車整備専門学校で4年間学び、小型1級自動車整備士を取得。卒業後は国産ディーラーにて4年間、自動車整備士として経験を積みました。さらにチェンソーメーカーに転職し、14年間にわたり製品知識や修理技術を習得。これらの経験を活かし、農林機械の修理・販売を中心に、伐採や草刈りといった現場作業も請け負う「GIJIE工房」を立ち上げました。地域に根ざした丁寧なサービスを心がけています。

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