【MS5310 修理事例】タンク水漏れとエンジン不動!原因は?

「タンクから水が漏れるのと、エンジンがかからなくなってしまって…」
先日、お客様より丸山製作所の背負式動力噴霧器「霧将軍 MS5310」の修理をご依頼いただきました。長年ご愛用されているとのことで、なんとか直して、また使えるようにしてほしいとのご相談です。
今回は、当店で行った診断と修理の過程を詳しくご紹介いたします。同様の症状でお困りの方は、ぜひご参考にしてください。
案件概要:MS5310の診断
お預かりした機体の症状は以下の2点です。
タンク周辺からの液体漏れ
エンジン始動不良
まずは、トラブルの原因を特定するため、慎重に診断を進めてまいります。
修理内容1:タンク周辺からの水漏れ
診断:原因はパッキン部品「ピンマトメ」の劣化
最初に、水漏れの箇所を特定します。タンクに水を満たして確認したところ、ポンプユニットとの接続部から水が滴り落ちていました。
分解して内部を調査した結果、原因は「ピンマトメ」と呼ばれるパッキン部品の経年劣化であることが判明しました。ゴム製の部品は、長年の使用や薬剤への接触により硬化と穴あきをしていました。その結果、密閉性が損なわれ、隙間と穴から水漏れが発生していました。
また、関連部品であるホースバンドにも緩みが見られたため、同時交換をご提案いたしました。
パーツリスト23番「ピンマトメ」

処置:関連部品の交換で水漏れを完全に解消
診断結果に基づき、以下の部品を交換いたしました。
ピンマトメ(新品)
ホースバンド(新品)
部品交換後、再度注水テストを実施し、漏れが完全に解消されたことを確認。これで安心して薬剤をタンクに貯めることができます。
修理内容2:エンジン始動不良
診断:点火系統の不良を特定
次に、エンジン始動不良の診断に移ります。お客様のお話では「リコイルを何度引いても反応がない」とのことでした。
エンジン不動のトラブルシューティングでは、**「良い燃料」「良い圧縮」「良い火花」**の3点が基本となります。
- 燃料系統の確認: 燃料は新しく、キャブレターへの流れも問題ありませんでした。
- 圧縮の確認: プラグホールからテスターを当てて、適切な圧縮があることを確認しました。
- 点火系統の確認: 最後にスパークプラグを確認したところ、火花が非常に弱い、もしくは飛んでいない状態であることが判明しました。
これにより、エンジン不動の原因はスパークプラグの寿命による点火不良であると断定いたしました。

処置:スパークプラグ交換で快調なエンジンへ
原因部品であるスパークプラグを新品に交換。プラグキャップをしっかりと取り付け、リコイルスターターを引くと、一発で快調なエンジン音が響き渡りました。吹け上がりもスムーズで、本来の性能を取り戻したことを確認し、作業完了です。
総括:定期的なメンテナンスで機械は長持ちします
今回のMS5310の修理は、経年劣化による消耗品の交換で、無事に本来の性能を取り戻すことができました。
- 水漏れの原因:ゴム部品「ピンマトメ」の硬化
- エンジン不動の原因:スパークプラグの寿命
一見、大きな故障に見える症状でも、原因を的確に突き止めれば、比較的簡単な修理で直るケースは少なくありません。しかし、その原因特定には専門的な知識と経験が求められます。
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