2025年8月OPEN

OPK CP-15Sハンドリフトが上がらない時の原因と修理法

倉庫や物流現場で活躍する”ハンドリフト”。パレットを移動させるために欠かせないこの道具が、突然「上がらない」状態になってしまったら?

「いつも通りポンピングしてるのに、持ち上がらない」「オイルは漏れてないのに動かない」
――そんな悩みを抱えた方は少なくありません。

この記事では、ハンドリフトが上がらないときの代表的な原因と、その修理・対処方法を専門的かつわかりやすく解説していきます。

自分で直せるケースと業者に依頼した方がよいケースの見極めポイントも紹介しているので、修理費を無駄にせず、現場の停止時間も最小限に抑えられます。


目次

ハンドリフトが上がらない原因とは?

油圧オイルの不足や劣化

ハンドリフトは内部の油圧システムによって荷物を持ち上げます。この油圧システムに必要な作動油が不足したり、経年で劣化していたりすると、圧力が十分にかからずリフトが上昇しません。

主なチェックポイント:

  • 油面が規定値以下になっていないか
  • オイルが変色(黒色や乳白色)していないか
  • 使用開始から2年以上経過していないか

参考資料:日本フルードパワー工業会(JFPS) 作動油の劣化基準

エア混入による油圧不良

作動油の中に空気が混入してしまうと、圧力伝達がうまくいかずリフトが上がらない現象が起きます。これは「スカポン」とした手応えのないポンピングに現れることが多いです。

対応策:

  • エア抜き作業を行う(ハンドルを倒したまま空荷でポンピング)
  • 作動油の補充と同時にエア混入を確認

ポンピングユニットの内部摩耗や故障

長年使用したハンドリフトでは、内部のシールやバルブが摩耗し、オイル漏れや圧力低下が起こります。これにより「上がらない」「途中までしか持ち上がらない」症状が出ます。

よくある症例:

  • 上昇はするが数秒でストンと落ちる
  • ポンピング時に異音や引っ掛かりがある
  • 油が見えない場所からじんわり滲んでいる

ハンドリフトの修理手順とポイント

自分でできる初期対応

まずは以下の点検を行いましょう。

  1. 荷重がかかっていない状態でポンピングし、反応があるか
  2. レバーが中立位置になっていないか
  3. 作動油が減っていないか確認(オイル量点検)

それでも改善が見られない場合は、以下のような修理工程に入ります。

エア抜きの方法

  1. ハンドルを下げる位置に固定
  2. リフトに荷物を載せず空荷状態にする
  3. ポンピングを30〜50回繰り返す

この作業で内部の空気が排出され、油圧が復活する場合があります。

オイル交換・補充の手順

  • 作業前に使用するオイル(ISO VG22~32推奨)を準備
  • リフトを水平な場所に置く
  • 油量チェック窓またはキャップを外し、漏斗でゆっくり補充
  • 必ず作動油専用の清潔な容器を使用

OPK CP-15S-107を修理してみた

今回、修理依頼があったのは、OPK CP-15S-107です。

ご用命はこちら⇩

普段使っていて問題なかったが、突然ハンドリフトが上がらなくなってしまった。
長年使っているものだが、買い替えとなると高額となるため修理をしてほしい。

リフトが上がらなくなる原因は前述しました。

ですが、前述した内容はユーザーでも確認ができる内容です。

今回は、少し違う原因でした。

結論から原因をお答えしますが、原因は・・・

レリーズバルブでした。

レリーズバルブは、手動で圧を逃がしたいときに作動させて内部のボールを移動させて圧を抜きます。

レリーズバルブ交換方法

[使用工具]

  • マイナスドライバー
  • 6㎜ポンチ
  • ハンマー
  • ラジオペンチ
  • ウエス
  • 作動油22番~32番

すでに外してしまいましたが、レリーズバルブを外すためには、操作レバーと連結するアームを外しますが、約6mmほどのピンがアームを貫通して取り付けられています。

ピンをポンチをあてがってハンマーでたたき抜いてアームを取り外します。

するとレリーズバルブの頭がお目見えしますのでラジオペンチなどを使って引っ張って抜いてみてください。

オイルが吐出して漏れてしまうので、圧抜きのためにオイルフィラーキャップをマイナスドライバーを使って開けてみてください。オイル漏れが少なくて済むでしょう。

スプリングが完全に折れています。

さらにバルブ側のOリングも経年劣化で割れていました。

調べてみると、Oリングとスプリング単体の品番が存在しなかったので、アッセンブリで交換することとなりました。

レリーズバルブを挿入する準備に入ります。

  1. 穴の中にスプリングの欠損部分が残っていないか再確認
  2. ドライバーなどを使ってウエスで穴の周りを清掃
  3. レリーズバルブにグリスをたっぷりと塗布する

元の位置にレリーズバルブを装着して奥まで差し込み、アームを装着してピンで固定して終了となります。

アームと操作レバーの調整はナットの13㎜をスパナ等を用いて調整してみてください。

これで作業完了となりました。

と思ったのですが・・・

実は続きがあります

リリーフバルブもチェックしてみた

レリーズバルブが破損していたので、交換したら…

通常は直ると思うじゃないですか!?

正直、焦りましたね。

2重で不具合が出ていたんです。ポンプからの圧漏れなら8万円??の部品代とのことで修理をあきらめなければなりません。だって本体が8万円程度で買えるみたいですからね・・・。

諦めきれずに、バルブ関連をチェックしてみることにしました。

部品図をじっくり見てみると、リリーフバルブがあることに気づきました。

リリーフバルブとは安全弁の役割をしており、規定以上の圧力になった場合に圧力を逃がします。

真ん中にあるマイナスのスクリューがスプリングを押しています。
このスクリューの締めこむ量でリリーフバルブの作動圧が変わるようなのですが、このスクリューが緩まっていたせいで大した圧力もかかっていないのに圧を逃がしていたことが分かりました。

YouTubeなどでは、あまり注目されていないリリーフバルブが原因の可能性もありますので、どちらもチェックすることをおすすめしますね!!

もし役立ったよ!ということであれば、
SNSでシェアしていただくと嬉しいです。


それではGIJIE工房のササグチでした!


まとめ

ハンドリフトが上がらない原因は、油圧オイルの不足・劣化、エア混入、パーツ摩耗などが主です。まずは自分でできるエア抜きやオイル補充を試し、それでも改善しない場合は業者に相談しましょう。

適切なメンテナンスを継続することでトラブルの再発は大きく防げますし、コストの削減にもつながります。万一修理不能と判断した場合も、早めの買い替えで現場の生産性を守ることが可能です。

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この記事を書いた人

自動車整備専門学校で4年間学び、小型1級自動車整備士を取得。卒業後は国産ディーラーにて4年間、自動車整備士として経験を積みました。さらにチェンソーメーカーに転職し、14年間にわたり製品知識や修理技術を習得。これらの経験を活かし、農林機械の修理・販売を中心に、伐採や草刈りといった現場作業も請け負う「GIJIE工房」を立ち上げました。地域に根ざした丁寧なサービスを心がけています。

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